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【相続事例・不動産名義変更】家庭裁判所で検認をうけた自筆証書遺言での相続登記が、法務局で受け付けてもらえないケース

「今、法務局に行ったんですが、相続登記受け付けてもらえなかったんです・・・」
Fさんは、真っ青な顔でご来所されました。
ご事情を伺うと、ご主人が半年ほど前に亡くなり、自筆の遺言書があった為、家庭裁判所で検認をうけたそうです。現在お住まいのマンションを奥様に「任せる」との遺言書であった為、ご自身で相続登記をしようと法務局に伺ったところ、「この遺言書では、登記できません。」との対応をされ、とりあえず、司法書士事務所を訪ねてみたとのことでした。
遺言書をみせていただくと、2点の問題がありました。
まずは、不動産の特定が曖昧で、○○のマンションという表現でした。これでは、登記はできません。(ちなみに不動産は、土地の場合は、所在、地番、地目、地積、建物の場合は、所在、家屋番号、種類、構造、床面積で特定します。) 逆に包括的な遺言「全ての財産を○○に相続させる」という文言であれば、相続登記は受理していただけますが、Fさんの場合は、特定財産なので、明確な表現が求められます。
もう1点の問題点は、「任せる」という表現です。特定物の財産について、相続人に対し、「相続させる」趣旨の遺言の文言があるときは、相続開始と同時に所有権はその指定された相続人に移転します。ただし、別の表現を用いることによって、遺言者の趣旨が不明確であるとされ、効力が、認められない事例が多いのです。
Fさんにこの2点の問題点を説明しましたが、Fさんは、家庭裁判所で検認を受けているのに、なぜ・・?という疑問がまだ、残っているようです。実は、「検認は、遺言の方式に関する一切の事実を調査して遺言書の状態を確定し、その現状を明確にするものであって、遺言の内容の真否、その効力の有無等遺言書の実体上の効果を判断するものではない。」との判例(大決大4.1.16民録21.8)があります。ですから、検認を受けた遺言書でも、無効ということはありえるのです。
その説明で、ようやく納得されたFさん、では、どうすれば、現在お住まいのマンションが、自分の名義にできるのか・・・というお話になりました。
まずは、亡くなられたご主人の出生から死亡までの戸籍をすべて収集し、相続人を確定。相続人様全員でお話合いの上、「現在お住まいのマンションは、Fさんが、相続する。」との遺産分割協議書を作成し、相続人様全員から実印で調印していただき、相続人様全員の印鑑証明書を添付すれば、大丈夫です。とお話いたしました。
ところが、Fさん、浮かない顔です。相続人は長男、二男、長女とFさんの4名ですが、長女とは、ずっと疎遠にしているので今更、「実印を押してほしい」とは頼めないとのとのことでした。
「それでは、こちらでご長女様のご住所をお教えいただければ、直接、当方からお手紙をお出しして、Fさんのご意思をお伝えいたします。」とお話しましたところ、了解していただけました。
その後、こちらから、Fさんのご長女様に、検認をうけた遺言書のコピーを添付し、Fさんのご意思をお手紙にてお伝えしたところ、快く遺産分割協議書に実印を押して頂きました。そして、無事、お住まいのマンションが、Fさん名義に書き換えることができました。